2014年5月26日月曜日

東寺特別拝観

平成26年5月24日

東寺五重塔
大阪早稲田倶楽部の行事の一つとして東寺を拝観することとなり、和尚も一役担うこととなった。参加者は15名。東寺の歴史については年表を用意、特別拝観の手配とご案内役は兄弟子の土口哲光師にご無理をお願いした。哲光師は、前東寺強化部長で、亀光庵々主。滋賀刑務所の教誨師をされている。
13時半、東門(慶賀門)集合、五重塔の初層から拝観開始。「不ニ桜」「不開門」などの説明を受けながら五重塔へ。「五重」とは、「地・水・火・風・空」の五大を表現したもの。真柱を大日如来に見立て、四方に四仏を配置。その真柱と各層は、接続されていない耐震構造となっている。従って、各層の乾燥による縮みに対応して、真柱の長さを調整することとなる。東寺の五重塔は最底部の切断部分が確認できるように開口されている。壁面には真言八祖像、明治の廃仏毀釈によって仏画が剥ぎ取られた四本の柱が痛々しい。
東寺のお堂は、「三宝」を表し、南大門から「金堂(仏)」「講堂(法)」「食堂(僧)」と北へ並ぶ。空海が嵯峨天皇から東寺を「永く給預」された時は金堂のみしか建っていなかったという。ご本尊は、薬師如来、脇侍は日光・月光両菩薩、本尊の台座には十二神将が刻まれている。
講堂は、空海が真言密教の真髄をいかに伝えるかと企画したもので「立体曼荼羅」と称される。空海の存命中には、完成に至らなかったが、その意図は見事に継承されている。中央に五智如来、上手に五菩薩、下手に五大明王、四隅に四天王。さらに最上手に梵天、反対側に帝釈天、この21体の仏様は全て国宝か重文という素晴らしさ。哲光師の話に、一般の参拝者も耳を傾けている。
食堂は、十一面観音像を中央に、上手に不動明王、下手に釈迦三尊像のお軸が掲げら得れている。納経所も食堂内に設置されているので、哲光師の説明の間に、和尚は納経帖にご朱印をいただいた。
そして、今回の特別拝観の圧巻は、「小子房」。天皇を迎える建物であり、堂本印象画伯の水墨画が各部屋の襖に展開されている。万が一にも襖に、傷を付けないように手荷物は全て廊下に置いておく。襖絵の中に、蜂や昆虫などが小さく描かれているのだが、近くまで寄らないと見えない。貸切状態の我々は、その一つ一つを確認することができる。各部屋の襖絵の中で、唯一極彩色で描かれているのが、玉座の間。両陛下がお座りになる目線に合わせて二羽の鶴が描かれ、玉座の背方には白鷺が舞う。各部屋を堪能して、「御影堂」へ。空海のかっての住房であり、毎朝6時のお朝事には、一般の方も参加することができる。お堂も弘法大師像も国宝だ。
締めくくりは、別格本山「観智院」。東寺一山の勧学院で密教聖教の量と質では我が国最高と云われる。国宝の客殿床の間には、宮本武蔵筆の「鷲の図」。小子房の鷲の図も、この武蔵の図がモチーフとか。本堂で、哲光師から「お加持」をしていただく。ご本尊は、空海が学んだ唐の「青龍寺」からの伝来という「五大虚空蔵菩薩」。
浜田泰介画伯の「四季の図」で彩られた書院にお茶席が用意されていて、お抹茶をいただきながら哲光師の法話。至福の一時だ。
奥の一隅に書院風茶室「楓泉観」がある。千利休より古い時代の様式で、現代の茶室の原型とも云われるものだ。
約3時間に渡る東寺特別拝観もこれにてお披き、心が洗われる若葉の一日。土口先生有難うございました。合掌

   若葉満つ  曼荼羅世界 東寺かな

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